幸福駅ブーム(愛の国から幸福へ)
 


1973年3月、NHKの紀行番組「新日本紀行」において『幸福への旅〜帯広〜』が放送され、「幸福駅」の駅名が全国的に知れ渡ります。

もともと一部の旅行者の間で、旧国鉄・広尾線の沿線上に、縁起の良い駅名が並んでいることは有名でしたが、東京でアイデア雑貨を営む飛田和義行(ひだわ よしゆき)氏は、沿線上の「幸福駅」と「愛国駅」に着目します。この縁起の良い駅名を全国にPRし、赤字続きの広尾線の乗降客数アップの手助はできないものか。そこで仕掛けた雑貨が、「愛国から幸福行き」という駅区間切符の一般発売です。

この仕掛けは大成功で、前年1972年には7枚しか売れなかった「愛国−幸福」間切符が、この年は300万枚。以降4年間で1000万枚を超える『幸福駅ブーム』を巻き起こしました。

このブームにより、「幸福駅」には多数の観光客が訪れるようになりましたが、広尾線の赤字経営は解消されませんでした。というのも、広尾線は1日6本程度と利便性が悪く、結局、観光客の主要アクセスは、路線バスや自家用車になってしまったからです。

赤字路線の広尾線は廃線になりましたが、「幸福駅」はこれからも『幸福のスタート地点』としての役割を担っていきます。